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あらすじ

明治16年の春、新天地での生活を夢見ながらはるばる越後から一家を挙げて那須野に入植した鶴見家。しかし、そこは話に聞いていた希望の地ではなく、飲み水にも困る不毛の土地でした。

あてにしていた土地はただで手に入るのではなく、貸し与えられた土地を開墾し、まじめに働いて十五年を経てようやく自分のものになるという。途方にくれる一家にあって娘のりんは、新天地那須野の大地に力強く生きていく決心をします。

しかし、日々の生活は苦難の連続です。石ばかりの土地を開墾し、片道一里を歩いて水を汲みに行き、食料を得るために俵を編んで隣町に売りに行くという日々。そんな生活を強いられながらも、一家はやがて引かれるはずの「疏水」に望みをかけ開墾に励みます。

疏水ができれば土地に水を引き、那須野の荒野を稲穂が揺れる緑の大地に生まれ変わらせることができる。しかし、疏水の完成を待つことができず、土地を去っていく者もいます。冬には家までも飛ばされそうな大風が吹き、やがて、野火が発生します。そのときに負った怪我がもとで、りんの母は重い病に倒れます。

年が改まり、人々の努力が結実した疏水がいよいよ完成しますが・・・・。

見どころ

「那須野の大地」は、不毛の土地を緑の大地に変えた先人たちの遺志を後世に伝える群像劇であると同時に、家族の絆、親子の情、夫婦の愛を描く感動の物語です。

劇中、随所に姿を現す「キツネ」は、時には人々を茶化し、時には登場人物の心のうちを代弁し、時には厳しい自然の化身となって舞台を縦横に駆け回ります。

骨太の人間ドラマと、幻想的なキツネたちの躍動、そして哀愁漂う音楽が観客を魅了し続けてきました。まだご覧になっていない方は、ぜひ「劇団なすの」の舞台を訪れてみてください。

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